「焚焼仙経帰楽邦」(正信偈)




 正信偈の曇鸞(どんらん)大師の所に出てくる一句です。

長命を求めて仙術を学んだ曇鸞が流支(るし)という僧に自慢します。

「仏教にこのような優れた術はあるまい」と。

するとそれを聞いた流支は答えます。

「いくら長生きしても、いつかは死ぬぞ。

人間が本当に求めているのは長生きの術ではなくて、このいのちを生ききることのできる教えなのだ」。

そして浄土教の経典を曇鸞に授けます。

曇鸞はその経典の教えによって自身の迷いを知り、

仙術の本(仙経)を焼き捨てて(焚焼)浄土の教えに帰依した(帰楽邦)と言われています。



現代の医学がまさにこの仙術に当たるでしょう。

人の迷いは今も昔も変わらないのです。

もちろん、長く生きられるにこしたことはありませんが、

死から逃れることのみを考えての医療は、かえって生きていることの尊さを見失わせかねません。

真の救いは、医学にあるのではなく、浄土の教えにあったのです 。


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