「帰敬式(おかみそり)」について


 帰敬式は私たちがまことの佛教徒になる第一歩として受ける儀式です。帰敬 式を受けるということは、私達が佛さまの弟子となり、佛さまの教えを聞いて生 きる者となることを明らかにするということです。つまり、これまで生きてきた 自分とは違う、新しい自分が誕生することを意味します。

 よく「出家する」と言いますが、出家するためには「得度式」という儀式を 行わなければなりません。真宗大谷派の儀式においても、男子の得度式は丸坊主 になります(私はこれが嫌だったな)。「おかみそり」という呼び名はこのとき の剃刀(かみそり)から来ていると思われます。
 しかし本来真宗は、出家して佛弟子となるのではありません。日常生活の姿 (在家)そのままに、「南無阿弥陀仏」を本尊と仰ぐことで、佛弟子となるので す。ですからその儀式は得度式とは呼ばず、帰敬式と呼びます。「おかみそり」 と言いますが、帰敬式では髪を剃りません。刃先を丸めた剃頭刀で軽くなでるだ けです。これで出家の形になぞらえるのです。(ただし、帰敬式を受けただけで は法衣をまとうことはできません)

 帰敬式を受けると、新しく誕生した自分に名前が授けられます。これが「法 名」です。法名や戒名を「死者につける名前」だと思っている人が多いようです が、大きな勘違いです。法名はあくまでも佛弟子としての名前です。弟子と言い ましたが、お釈迦さまの一族の者となるということで、男性の場合は「釋」、女 性の場合は「釋尼」が頭につきます。

 自らの努力で修行を積んで佛になることを選ぶ仏道(難行道・自力・聖道門 )では、修行生活の規律(戒)を授けられた者として「戒名」が与えられます。 如来の願力によって佛となることを選ぶ仏道(易行道・他力・浄土門)では法名 が授けられます。もちろん、浄土真宗の門徒が受けるのは法名です。

 帰敬式は思い立ったときに受けられるのが一番です。よく、葬儀開式直前に 故人に対して棺(ひつぎ)の上から手次の住職がおかみそりをすることがありま すが、あれは生前に帰敬式を受けていない人に対して便宜上行っているだけです 。帰敬式を受けるのに、早すぎるとか、ましてや遅すぎるということは全くあり ません。帰敬式を受けることの意義(冒頭の部分)を理解されたら、機会を見て お受けになって下さい。いつ、どこで受けられるのかはお手次かご縁のあるいず れかのお寺にお問い合わせ下さい。

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