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99/10/05 「非国民?」
たしか私が中学生の頃、萬屋錦之介主演のテレビ時代劇で「破れ傘刀舟悪人 狩り」というのがあった。腕の立つ無頼の蘭法医が悪徳商人や横暴な旗本などを 成敗していく筋立てで、無惨に殺された庶民に対して「尊い命を虫けらのように ・・・」などと泣いたあと、クライマックスの決めゼリフで「テメエら人間じゃ ねえ、たたっ斬ったる!」と、悪人どもを片っ端から切り捨てていく。
当時はこのドラマが大好きで、毎週欠かさず見ていた。まあ勧善懲悪で、ヒ ューマニズムに溢れていて、お涙頂戴で、単純に楽しめる番組だった。
ただ、四十も近くなってやっと感じ始めたことなのだが、「テメェら人間じ ゃねえ」から「たたっ斬る」という権利が「刀舟に」あるのだろうか。ねえわな 。「刀舟に」無いのではなく、誰にもない。そんなことやってたらオ○ム真△教 の「ポア」と変わりゃしない。
人間であるかないか、という「人間である要件」というものを人間が決めて はいけないんじゃないでしょうか。
じつは日本国憲法第十条に「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」と あります。しかしいまのところ日本国民たる要件を定める条項を記載した法律は ないのです。はやい話が日本国籍を持っている人が日本国民であって、「国旗・ 国歌を尊重」しなければ日本国民ではない、とは憲法には記されていないのです 。
それを、一県の首長たる人が「国旗・国歌を尊重できない人は国籍返上を」 などと発言しているのです。もちろん新聞報道で読んだ範囲のことですから、「 真意が伝わっていない」ということもあるでしょうが、どう言い直しても不穏当 な発言だわな。
この時代になっても「非国民」発言(?)が出て来るとは情けない。
「○○でない奴は出て行け」。私的なサークルならいざ知らず、国というこ とについてそんなことを言っていいのか。私が日本人に生まれたということは、 私にすら選びようがないことだったのだ。
人間が作る社会は多かれ少なかれ、「○○でない奴は出て行け」になってし まう。ついでに言えば死刑という奴は「この世から出て行け」というもんだろう 。けれど、今このようにしてある者になることを承知の上で生まれてきたのなら いざ知らず、気が付いたらこのような者になっていたのだ。年を取るということ も、障害を持つということも、同じ事だ。「出て行け」という権利が誰にある。
極楽が「総ての者を迎え摂る」という誓いの元に作られたというのは、私達 の社会のあり方を痛烈に批判していると言えるんじゃないでしょうか。
(この項は 「原稿用紙一枚の法話:覩見諸佛浄土因」 を参照して下さい)