笑顔

 ずっとずっと薬が嫌いでした。好きって思ったことは一度もなかった。でもたった一度だけ好きな時があったのです。入院中、今回はちょっと薬を好きになってみようかなと思い、先生に薬のこといっぱい聞いたのです。どうして効くのかとか。私の病気にはまだこれといった薬はなく、今の薬もとりあえずというものです。それにこの薬は副作用に太るというのがあるので、ただ私は薬というより、太るのが嫌で、好きになれなかったのです。でも今回は思い切って太るというのには目をつぶって、薬を信じて飲んでみようと思ったのです。悪いときはたくさん飲ませてと言うのに、ちょっと良くなると本当に効いているの?と都合のいい私なのですが。それで先生にいろいろ聞きました。先生はちゃんと答えてくれました。ひねくれた質問にもちゃんと分かりやすく。本当は頭のどこかで薬のせいで太るのは嫌だから、どうせなら、この病気には効かない、やめてみようと言ってくれた方が嬉しいんだけどと思っていました。でも今回はちゃんと効いてると自分に言い聞かせて信じても大丈夫大丈夫と少しずつ好きになっていく努力をしたのです。そして退院する頃には、今回はおいしく薬が飲めそうというところまでになりました。薬を信じて飲んでいるとそごく効いているような気がしてきて、もう二度と再発しないような気がしてきました。ところが半年もしないうちに再入院。ひさしぶりの早い再発でした。でも軽くてすみ、すぐ退院できたけど、病気の軽さより、薬を信じてたのに、裏切られたという気持ちでいっぱいでした。私一生懸命好きになったんだよ。はじめて薬を喜んで飲んでたんだよ。どうして?信じてたのに。私は自分を守るために薬を信じました。なのに、こんなに早く再発してしまって。私はこれから何を信じて何を守ればいいのだろうと思ったのです。ある日、ふとしたことで思いっきり笑ったのです。その時、そうだ、私これからは、病気とか自分とか、薬とかなんとかでなく、ただただ笑顔を守っていこう!そう思ったのです。もう、うっとおしい想いは一切入らない。笑顔だけでいいの。毎日笑っているのって大変だし、すごい事だと想う。でも私は一生かけ笑顔を守っていこう、そう決めたのです。

 今日も明日もあさってもずーっと笑っていたい。


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