人工卵室って、こんな感じ



左1列目の上から2番目と3番目、3列目の下から2番目、そして4列目の下から3番目が孵化したての幼虫です。


「卵が見つかったのですが、どうしたらいいのでしょうか」という問い合わせを最近いくつかいただきましたので、ここで私なりの方法を披露いたします。

カブトムシの卵はメスがマットの中に作った小さな空洞に産み付けられており、この空洞を卵室と言います。飼育者が卵を目にする場合は、この卵室から出されてしまっているわけですから、孵化させようと思ったらその代わりになる状態を作ってあげなければなりません。

私が作っている人工卵室は、基本的に「http://www.geocities.co.jp/AnimalPark/2810/sodatekata.html」(「お父さんのためのカブトムシページ」)に掲載されている方法を使っています。

まず密閉できる薄手の四角い容器(市販名「タッパーウェア」など)を用意します。大きさは中に入れる卵の数に依りますが、私は書類のA4版程度の大きさのものが家にいくつかあったのでそれを使っています。(虫さされは大きさの対照として置いてあるだけです、念のため)


この容器の半分くらいまで、適度に湿り気を与えたマットを敷き詰めます。マットの湿り具合については言葉でなかなか説明しきれないのですが、おにぎりを握るくらいの力で握ってみて、形がすぐにバラけたりしない程度、が適当だとよく言われています。ぎゅう〜っと握って水分が垂れてくるほど水気があるのは駄目です。

また、市販マットの品質にも気を遣わないといけない点があります。最近はDIYショップのブランド品で安価なものを見ますが、信頼できるものかどうか私には分かりません。建築廃材のようなものを砕いて入れてあるのではないか、と疑えるようなマットがあるという報告を読んだこともあります。私はクワガタ用のブリーディングマットを出しているメーカーの製品で「カブト用」と銘打っているものを使って大きな幼虫を育てることができました。充分に発酵が進んだもので、いささか割高になりますが、幼虫には多少おごってあげてもよいのではないかと思っています。

それから、市販のマットで、特に朽ち木のチップを使う場合は、あらかじめ細目のふるいにかけておいた方がよいと思います。これはまあ、「幼虫の居心地」を想像しているだけなのですが、きめの細かいマットの中にいる方が活動しやすかったり初期の摂食に都合が良かったりするのではないかとも思うからです。

容器に敷き詰めたマットを全体に軽く手で平らに押さえ、そこに卵を並べていけばよいのですが、私はこのとき小さめのティースプーンの背でマットを押さえてくぼみを作り、そこに卵を置いています。いちばん上の写真でその卵の置かれているくぼみが多少確認できると思います。このくぼみは、卵室の平らな壁を模していることと、容器のふたを開けて卵の状態を確認する時など、どうしても容器が揺れますが、そんなときでも卵が大きく転がったりしないようにするためにつけてあります。それからくれぐれも、卵には手で直接触らないようにしましょう。掘り出したマットから人工卵室へ移す場合は小さなスプーンでそっとすくって運ぶようにします。

卵の上にマットをかぶせる必要はありません。下手にマットをかぶせるとカビが生えたりして卵によくありません。マットの上に露出させたまま、容器のふたをきっちり閉めておくことで湿度を保つようにします。卵の様子を観察する時以外はふたは閉めておきます。

卵は産卵から2週間ほどで孵化します。始めは小さな米粒のような形ですが、中で胚が育つにつれて丸く膨らんできて、最後は直径3ミリくらいのまん丸の玉になります。そしてある日、小さな幼虫がマットの上でうごめいている、ということになります。